【中本会長からのご挨拶】

=全日本学生剣道連盟 創立70周年を迎えて=

 昭和28年(1953年)に全日本学生剣道連盟が創立され、本年で70周年を
迎えます。

 戦後、連合国総司令部(GHQ)によって剣道禁止令が出されている中、昭和
25年、剣道界の諸先輩は、全日本撓(しない)競技連盟を創立し、剣道の解禁
に向けて活動していました。昭和27年、サンフランシスコ講和条約の締結によ
り占領政策が終了し、剣道禁止令も解除されました。その後、剣道界は、武道の
精神を引き継ぐと共に、競技としての剣道を今日まで発展させてまいりました。

 今後、全日本学生剣道連盟が80年、100年と活動を継続していく上で、こ
れまで以上に、武士道としての精神の継承と競技としての発展が求められます。
新渡戸稲造が唱える「義・勇気・仁・礼」等の武道の精神は、今日の剣道の修練
の中で活かされてこそ、剣道の目的である人間形成の道に繋がります。

 また、剣道は武道であると共に、一定のルールの下で、競技を行うスポーツで
もあります。少子化社会の今日、ここ10年間、剣道人口が減少しています。と
りわけ学生剣道人口が減少しており、小学生、中学生、高校生に剣道の魅力につ
いて理解してもらうことが必要です。そのためには、彼らの両親や教師の方々に
剣道の競技ルールを知ってもらい、競技としての剣道について関心を持っても
らうことが重要です。

 また、試合の観客にも、有効打突や反則についてパンフレット等で説明をし、
勝敗が一般の観客にも判りやすくする必要もあります。

 全日本学生剣道連盟は、武道精神を継承しながら、国内外で剣道を発展させる
ため、学生剣道の国際化や、さらに世界大会のあり方やオリンピック大会の参加
の是非についても関係諸団体と協議し、検討する必要があるのではないかと考
えます。

 創立80周年に向けて、武道精神の継承と競技としての剣道の発展を祈念し
て挨拶と致します。

                会長 中本和洋